未だに後悔している
あの日、家に帰った事を
帰らずに傍にいたら最期を看取れたと
医院長に言われた事を聞かなければ良かったと
今後もお世話になるから文句も言えないと
田舎の人らしい気遣いをしつつ後悔
俺が話してやれるのは
あなた達 夫婦はホントに仲が良かったこと
最期の日まで傍にずーっと一緒にいれたこと
俺はそれが叶わなかったから羨ましいことだと
寝たきりで口もきけず反応も出来ないような生き方を選ばず
みんなに迷惑かけずに死んでいったんだと
泣いてばかりの日が続いたある日
隣に親父が寝ていて
「お父さん来てたの?」と声を掛け
手を伸ばしたら消えたって言ってた
お袋は「泣いてばかりおらんでしっかりせんか」って
言いに来たのかもって言ってたわ
入院中 色んな人が見舞いに来てくれた
みんな口を揃えて言う言葉が「頑張って!」
もうやばいかもとなったある日
親父は母親に言いました
父 「みんな 頑張って!頑張って!ばかり言うて!
ガンで先のない人間が何を頑張るか!?」
母親は「そんな事はない 頑張って治して家に帰ろう」と励ますしかなかったと
そんな父にある先生が声をかけた
先生 「お父さん もう頑張らなくて良いよ~ お父さんはみんながびっくりするくらい頑張ったよ
もう無理して頑張らなくて良いんだよ 良く頑張ったね~ 偉いね」
親父はその先生の言葉がホントに嬉しかったって言ってたそうな
父 「お母さん 俺はあと何日生きるか? 葬式はどうすっか?
金はあるか?」
親父はそういう質問を母親にしていたが 母親は正直に話せる訳もなく
ただ誤魔化していた
母親はあの時、正直に話した方が良かったのかもと考えてる
自分の寿命が分かった人間は
死を覚悟し生きているうちに
話しておこうと思う事があると聞いたそうな
亡くなる数日前に会った俺も
ホントに話したい事は話せなかった
確かに後悔している
親父と暮らした家で一人 夜になると写真を見て
好きだったカラオケを唄う親父のテープを聴きながら泣いてるそうな
父 「俺が死んだら葬式で俺の歌を流してくれw」
親父の願い通り 通夜と葬式に歌声が流れた
少しは悲しみが和らいだかと思っていたが
母親の中では まだまだのようだ
俺 「くよくよしとらんでこっち遊びに来い!孫と遊んでろ
泣いてる暇ないぞ!w」
こっちに遊びに来れるようになるには
まだ時間がかかりそうだわ